[ベターケア]第13号 2001.WINTER 芳林社

診療所訪問…

おやま城北クリニック

動く医療の実践
整形外科医として自治医科大学整形外科教室の医局長まで務めた太田さんだが、結局のところ、この高度先端医療の現場は、自分が理想とする医療を提供できる場ではなかった。
太田さんが勤務医当時は、高齢者や身障者が海外旅行を望んでも、旅行会社からは医者が責任を持って同行してくれるならとの条件がつく時代であった。あるとき、乞われるままに太田さんは同行する。旅行中、車椅子の処方は日常的にやっているとはいえ、実際に車椅子を押すとなると、満足に押せない自分を発見してがく然とする。
こんな体験は、いくつかあった。「患者が本当に必要とする医療がしたい」。太田さんは、患者の実の生活が看られる医者を目ざし、形にとらわれることのない ”動く医療”を実践するため、開院に踏み切る。

世間話を聞き出せる医療
「連れ合いに先立たれたお年寄りが、葬式の日から元気がなくなって、そのまま呆けが進むことがよくある。配偶者の死が直接の原因とすれば、それはバイオメディカル(生物医学的)な問題ではなく、きわめてサイコソシアル(社会心理的)な問題だ」太田さんにとっての医療とは、社会科学である。カルテに書かれたデータの背後にある世間話(物語)を聞きだせる医療が必要で、患者の生活を知らずして医療はできないというのが持論である。

家族の「介譲力」が
在宅医療を決める
「南側の陽の当たる部屋をあてがわれているお年寄りと北側の陽の当たらない部屋をあてがわれているお年寄りとがいるが、それを見れば、その家の中で、どう扱われているか、どういう立場にいるかがすぐにわかる」
在宅医療の適応は、患者の病態にあるのではなく、家族の「介護力」にある。すなわち家族の理解と協力、そして情熱なくしては、在宅での医療は難しいと太田さんは指摘する。

QOLが医療の妥当性の
モノサシとなる
「高齢者にとって何が問題かといえば、脱水状態と低栄養と薬の副作用。医療の前に食事が重要。食事は医療ではないとすれば、満足に食事を摂っていない者に薬を与えることが医療かという問題をもっと考えなければいけない」
プライマリーケアを目ざし、高齢者医療の何たるかを探求する太田さんは、云叩の量を目ざす医療ではな、QOL(Quality Of Life=生活の質)が医療の妥当性のモノサシになるような医療」が、いま患者側からも徐々に理解され始めたことに、手応えを感じている。

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