2001年10月27日(土)

在宅かかりつけ医のあり方を考える会の要旨

−太田秀樹先生の講演要旨

 毎年1回本会の活動報告を行うとともに、これからの在宅医療のあり方を考える会として“在宅かかりつけ医のあり方を考える会”を開催しています。2000年のライフケアシステム代表幹事、佐藤 智先生に続きまして、2001年は医療法人喜望会、おやま城北クリニックの太田秀樹先生をお招きしてフォーラムミカサ(東京都千代田区)で開催いたしました。ここに御講演の要旨をお知らせいたします。

太田秀樹先生
(医療法人喜望会 理事長、おやま城北クリニック 院長)
ホームページ http://www5.ocn.ne.jp/~kiboukai/

1 在宅医療ではスキルよりマインド(心)とアティチュード(態度)が大切
2 在宅医療では心のバリアフリーが必要
3 在宅医療では施設に止まっていた医療が動く(医療チームがそれぞれ動く)
・医療システムの確立+福祉・行政との連携→コミュニティーが支える
・コミュニティー・ケア
痴呆老人の徘徊;市民が保護すれば事故を防ぐことができる
車椅子で外出;市民が笑顔で手をさしのべる(心のバリアフリー)
・チーム医療;訪問診療・訪問歯科診療・訪問看護・訪問リハビリ・訪問栄養指導・
訪問服薬指導・義肢装具士
・動ける側が動くということが基本
4 在宅医療を始められたころの写真
5 チーム医療を行う上で必要なサービスを自分のところで提供するという方針に基づき、
老人保健施設・診療所(あおぞら整形外科・内科・にこにこ歯科)を併設
6 岩舟地蔵(子宝、ぽっくり)、ぼけ封じ観世音を通して、高齢化がすすむ社会背景を説明
・人口の18%が高齢者(総務庁統計局)
・昭和40年代;高齢化率4%程度→高齢者を対象とする医療の必要性はまだ強調されて
いなかった
7 在宅医療の継続の秘訣
・継続群と中止群の比率(91例);継続群73%、中止群27%
・おやま城北クリニック式 在宅ケア適応スケール(試案)
患者因子・介護者因子・環境因子それぞれ7つのパラメータに分けて検討
継続群と中止群との比較により有意であった因子
・患者因子;有意であった因子は積極的に治療に協力しようという姿勢・病状を理解していること
・介護者因子;7因子とも有意であった→介護力を評価することが重要。
介護力があればどんなに重症なケースでみることができる
・家庭環境・社会資源;療養に適した環境が整備されていることだけが有意→どんなに
介護保険がしっかりしていても介護者に見る気がなければ在宅ケアはできない
8 医療依存度と介護依存度は相関しない
・肘の関節機能;関節可動域で表現することにより全ての医療従事者に伝達可能
・能力;食事ができるかどうか?手が口に届くかどうか?は見た目だけではわからない
・機能低下(客観的医学的変数)→機能低下→社会的不利益(客観的評価の可能性)
ICFモデル;心身機能・構造、活動、参加から健康状態をとらえる。環境因子、
個人因子(個人の障害の因子は環境因子で変わる)
・健康状態;妊娠や老化は病気ではない
・障害は環境によって変わる
<事例>T杖歩行がなんとかできる高齢女性;パン食い競争を行うと杖を忘れて
パンに食いつく→環境が変われば歩くことができる。環境を変えれば障害を変えることが
できる。
・心身機能・機構→医療
活動→医療+介護+福祉
参加+福祉
これら3つを頭に入れて初めて在宅医療ができる
<事例>類天疱瘡+脳卒中の高齢女性→自宅に帰った(脊柱管狭窄症のある夫が介護;世話を     
する中で全身状態を正しく掌握する能力を身につける)、2年間ケア、ホームヘルパーを
入れようとしたが受け入れなかった→介護者の健康状態が非常に重要
<事例>アルツハイマー病の高齢女性;
入院中衰弱→自宅につれて帰ってきた
脱水の補正、エンシュアリキッド→リハビリ施行→表情が出てきた
マニュキアを塗る→にっこり微笑んだ→夫が赤に反応すると喜んだ
・家族の状態も観察する
<事例>開放骨折をした高齢女性→在宅で手術を施行
(目の前の患者にもっとも適切な治療法を選択する場合、
在宅手術が適応になることもある)
9 介護保険→高齢者を中心とした在宅医療
男の一生、女の一生;40代から一人になっていく男性
女性は孫たちに囲まれて過ごす
対象者・介護者は男か女か?を把握することは在宅医療を行う上で大切
10 人の身体的機能に影響を与える3素;
生理学的要素、心理学的要素、社会的要素
これらの重なりが機能であり、加齢に伴いこれらの重なる部分が大きくなる
11 在宅虚弱高齢者における医療管理上の問題点
・栄養障害(低栄養状態)脱水、薬物障害、(多剤投与、大量投与、長期投与)
・脱水の原因;渇きに対する生理的欲求の低下
腎機能低下
頻尿や排尿の失敗を恐れて飲水量を自己調節
体調不良による摂食量の低下
嚥下障害による飲水量の低下
精神的要因による摂食量の低下
→心理・社会的要因が大きい
→脱水を早く発見して輸液を行う
12 在宅ホスピスとは?
肝臓がんの男性、肺がんの男性、CJD、直腸癌の男性、胆嚢癌の方の事例を通して、
在宅では好きな嗜好物を食べながら、院内感染はなく、家族に囲まれて過すことが
できることを説明
13 ショートステイの意義
85歳の男性の事例を通して説明
14 在宅医療と施設医療;医療レベルに質的差があるか
必ずしも在宅医療は質的レベルが低いとは言えない。入院して廃用症候群を生じることもある。
医師は何もしないという選択肢を選びづらい。入院させることは説得しやすいが、在宅医療を
継続するということは難しく、在宅で最後まで見るという意義、自然経過をみるという意義を
家族によく説明する必要がある。
15 在宅高齢者の急変時の対応
・2年間で341回の往診
発熱38%、呼吸困難21%、意識障害12%、外傷14%
などが代表、救急車要請11回、死亡確認3%
・脱水などに対する日中の対応が重要
16 自宅における大腿骨頸部骨折;脂肪塞栓に注意して保存的に対応しても変形治癒する
17 暮らしの中へ医療をとけこませるには?
・しなやかな感性を磨く
・専門職はプロの価値観を持っている。プロとアマチュアの感性は異なる。
・市民とともに歩む
・支援から参加へ

TOPへ  おやま城北クリニック  蔵の街診療所  街かどクリニック・世田谷  生きいき診療所  生きいき倶楽部  訪問看護おやま  ケアセンター 居宅生きいき ケア研究所 RISTEX 理事長の部屋  最新情報  アスムス概