胃痩造設患者における
在宅胃痩交換の検討

医療法人アスムス

おやま城北クリニック
医師 吉 野 浩 之

胃痩造設患者における
在宅胃痩交換の検討
通常,胃瘻の交換は病院で専門医の手により行われていることが多い。そのため,通院が患者や家族の負担となっており,在宅での胃瘻交換を検討する余地がある。しかし,在宅での胃痩交換の安全性が確立されていないため,在宅での胃痩交換はあまり進んでいないのが現状である。
おやま城北クリニックの医師である吉野浩之氏は,在宅で胃痩交換を行ってきた経験から,在宅での胃痩交換を安全に行うために必要なポイントおよび合併症の対策について示した。

安全性をプライオリティに
ボタン型バンパータイプを使用
吉野氏によると,おやま城北クリニックを運営する医療法人アスムスは,2002年から在宅での胃痩交換を積極的に行ってきた。同クリニックで訪問診療を行っている患者のうち,胃痩造設している12人を対象に検討した。
同氏はまず,在宅での胃痩交挽を安全に行うために必要なポイントとして,@在宅胃痩交換に適した器具の選択 Aリスク要因の検討,B手技上の注意点の3点を挙げ,ポイントに沿って説明した。
器具の選択は,同クリニックでは在宅では患者のQOLと事故抜去の起こりにくさを優先しているという。
胃痩の種類は,体外に出ている部分の形状と胃内にある抜去防止部分の形状で分類される。体外の部分の形状はチューブ型とボタン型がある。チューブ型は安価で扱いやすいが,同クリニックではQOLが高く清潔なボタン型を選択している。胃内の形状は,バルーンタイプは挿入が容易だが事故抜去が起きやすいため事故抜去が少ないバンパータイプを選択する。
さらに,ボタン型バンパータイプのなかでは、挿入方法において,A社製品はやや斜めに,B社製はまっすぐに挿入できる特徴があり,同クリニックでは安全性を優先し,まっすぐに挿入できるB社製を第一選択としている。
しかし,痩孔の状態,家族の理解度などから上記の限りではない。

着色水を活用して安全を確認し
胃痩交換のリスクを回避する
次に吉野氏は,リスクと交換時の問題点を示した(図)。特に胃外への迷入について,同氏は「熟練した医師は手の感触でわかるし,病院では]線透視下に造影で確認できるが,それが困難な在宅では工夫が必要」とし,同クリニックで実践している手技を紹介した。
手順は,次の通り。@胃液の逆流を確認する,A水を胃内に300mL程度注入してその回収を確認する,B胃内に水を入れてエコーでバンパーの位置を確認する,C着色した水を胃内に注入した後,胃痩の入れ替えを行い,その着色液の回収を確認する,D経鼻胃管を入れて着色水を注入してから,胃瘻からの回収を確認する−とした。なお,着色水は,出血や胃液の色と区別するため粉末緑茶を水に溶かして利用しているという。

家族に交換後の観察を促し
交換後の安全対策に万全を期する
胃痩造設患者においては,合併症のリスクがあるため,対策が欠かせない。
吉野氏は,同クリニックにおいて発生した合併症2例を示した。
症例1は18歳女性,脳性麻痺であった。
ボタン型バンパータイプ挿入後5か月で入れ替えの際に,痩孔狭窄により抜去不能となった。大学病院にて胃痩器具を切断のうえ,内視鏡で回収した。その後,同クリニックではボタン型バルーンタイプに変更し,ブジーを併用しつつ在宅での交換を継続している。
症例2は70歳女性,脳梗塞後遺症であった。経口摂取困難により,大学病院でPEGを施行。3か月後に同クリニックで内視鏡下に初回入れ替えを行ったがゴム製の尿道カテーテルを使用したため1週間後にバルーンが破れて事故抜去,在宅でシリコンバルーンに入れ替えた。直後から,経腸栄養剤様のコントロール困難な下痢が見られた。2週間後,チューブ型バルーンタイプに交挽を試みたところ,抜去したバルーンから便臭があり,挿入は容易であったが確認した水が便汁様であったため大腸への迷入と判断し,大学病院へ入院し装具を抜去,痩孔を自然閉鎖させた。
同氏は「大腸に迷入したとの報告はないが,胃痩造設時に拡張した横行結腸を貫いて作製した可能性も否定できない。しかし,このような症例でも,水を使った確認法は有効だった」とした。
また,胃痩交換時には,家族への注意(表)も重要であると述べた。
最後に,同氏は「水を用いた,ごく簡単な方法で,重篤な合併症の発見が可能である。胃痩交挽は,基本的な知識,合併症に対する対処の方法を知っていれば,在宅でも安全に行えると考える」と結んだ。

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