日本医事新報

意見書記載における
  運動機能低下がない
痴呆性老人の扱い

〔問〕介護保険の主治医意見書には身体的な障害がなく痴呆のみあるが、日常生活は自立できない場合の介護状態を表す適当な項目がみあたらない。このような場合の日常生活自立度(寝たきり度)の記入方法について。なお、俳徊や異食行動などが著明で、介護の手間は非常にかかつている。
(広島 丁生)

〔答〕介護認定において、痴呆が低く評価されることは、認定の公平性への疑問としてしばしば取り上げられている。コンピュータによる一次判定ロジックは、老人施設での調査を基に組み立てられているため、ご質問にある徘徊、異食などの行為は、介護度にはほとんど反映されない。なぜなら施設では、安全に、いつでも徘徊できる環境整備がなされ、異食につながる物があれば、生活環境からその物を除くという対策によつて痴呆の管理を行っているからである。
在宅で痴呆の高齢者をお世話する場合、施設と比較すると、介護の手間という視点では大きく異なることになるはずであるが、これを介護度に反映させるロジックは組み立てられていないのである。
約30年前、一世を風靡した『恍惚の人』(有吉佐和子原作)の立花茂造老人を現在の判定システムに当てはめ、介護度を調査してみると、一次判定は要介護1程度である。嫁による介護は一家が崩壊の危機に瀕するほど重介護であったにもかかわらず、現在の認定制度は、在宅の元気な痴呆老人に対する評価が著しく低いというのが現状である。
したがって介護認定審査委員会がしっかり機能していれば、在宅高齢者の介護の手間を勘案して、二次判定では介護度が変更されることとなる。しかし、介護度を変更するには明確な根拠が必要で、主治医の意見書に記載されている痴呆に関する情報が大変貴重な資料となるので、ぜひ「5、その他特記すべき事項」の欄に、症状をお書きいただきたい。具体例であるが、「家族が目を離したすきに俳徊し、交通事故に遭った」「雪の中、夜間徘徊し、警察に保護された」、あるいは「乾燥剤を食べ、救急病院で胃洗浄を行った」というような、しつかりとした監視介護が常時なければ、生命の危機を回避できないといった内容がよい。
なお、主治医意見書の「3、心身の状態に関する意見」の中に、「1.日常生活自立度等について」という質問欄があり、障害老人および痴呆性老人という二つの視点から分類されている。ご質問の例では元気な痴呆であり、移動などの能力、すなわち運動機能の低下はないので、障害老人日常生活自立度はJ−2、痴呆性老人の日常生活自立度は2a(軽度)3b(重度)と判断されると考えられる。判定基準は表1・2をご参照いただきたい。

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