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ポータブルエコーで、軽々検査
 森山貴志氏・太田奔樹氏(おやま城北クリニック)

ポータブルエコーで、軽々検査
森山貴志氏・太田秀樹氏(おやま城北クリニック)

 小山駅から車で約5分。地域医療を担うおやま城北クリニックでは、在宅で画像診断を行っている。レントゲン、超音波。最近は、コンパクトな超音波検査機器が開発され、手軽に患者宅に持ち運びができる。消化器内科医としてエコーに詳しい森山貴志氏に使い勝手を聞いてみた。重量2.4kgのエコー、1台150万円。これを高いとみるか安いとみるかは考え方しだい。心電図、血液分析器、パルスオキシメータなど検査機器がますます便利になっている。

スクリーニングに使え、
家族への説得力になる

 在宅で今一番簡単な画像診断はエコーです。スクリーニングに関しては十分ですね。エコーはやる人によって左右される部分はありますが、慣れた人がやるぶんにはある病状を見逃すということは、まずないですね。私自身は今までは、従来型(アロカ)を使ってきたんですが、さすがに15kgとなると重いのです。エコーの適用は、症状のあるとき。腹痛などがあれば第一選択になりますね。例えば胆嚢炎とか胆石、血尿でもあれば尿路結石を疑ったり、胃炎、腸炎がひどい場合、腸管の壁の腫れなどがわかります。
ただ、外来でエコーをやるときは、よく観察するために息を大きく吸い込んで、そこで止めていただく。ところが在宅では、脳卒中、脳梗塞の後遺症、痴呆症などのために体位の協力や息止めの協力を得られにくい方が多く、観察が非常に難しくなります。また、動きの少ない寝たきりの方は腸管にガスが貯まっていて、特に正中部での観察が難しくなるという欠点はありますが、超音波でこういう所見があるとはっきりした基準ができると、医師としてもご家族に説明しやすいです。今後の課題としては、医療機関を訪れるのが困難な在宅療養の方に対する予防医学的というか健康診断的な意味も問いかけられると思います。

 

制度の欠陥を認識したうえでかかりつけ医の役割を考える
在宅ケアを支える静席所全国ネットワーク 世話人太田秀樹(おやま城北クリニック)

 介護保険制度は、障害をもっても住み慣れた地域で自立した生活を継続するための援助を保障するものである。障害はさまざまな社会的活動の制限を引き起こすが、まったく同じ障害をもっても、社会参加するために必要な援助は、個人によってそれぞれ異なる。例え片麻痺が生じても、画家であれば健側を利用して絵が描けるが、バイオリニストであれば演奏できない。同様に雪の北海道で歩行できない人が、沖縄では杖で歩けるかもしれない。
すなわち介護ニーズは、個人の障害を取り巻く環境によって変わり、活動の種類や目的によって必要なサービスが変わる。ここに個別なケアプラン作成の意義が生まれる。ところが、問題はケアプランを作成する前に、要介護認定という複雑な手続きがある。個人の障害の状態像のみに着目して、介護度として等級が付けられるのである。そして介護度に応じて、介護サービス支給限度額が設定きれるのだから、本当に必要なサービスが供給できなかったり、一方で不要なサービスが限度額一杯盛り込まれたりしている。
これは制度そのものの致命的な欠陥と言えるが、しかし、その欠陥から派生した問題も含め、混然と議論の対象となっているようだ。本質的な問題は、障害評価の方向性が、WHOの世界標準に逆行しているだけでなく、介護保険制度で、最も重要なケアマネジメントを担うケアマネジャーが、安易に、大量に、短期間で養成されたため、真の介護ニーズを抽出できていない状況にある。施設療養が妥当なのか、在宅療養可能かなどは、ケアプランから読み取れる情報であるが、施設と在宅はまったく別にプランニングされる。さらに同額の保険料を支払っているにも関わらず、介護度が同じでも、施設のほうが支給額がはるかに高いのだから、在宅療養希望者が増える訳がない。
これが現実であるにも関わらず、介護保険制度を地方分権の試金石として、国はすでに責任を果たしたといい、行政責任は曖昧になってしまっている。ホームヘルパーらの労働対価一つを見ても、矛盾や疑問は後を絶たない。
しかし、未だ混乱の中にある制度であっても、保険者である市町村と、かかりつけ医との連携は極めて重要である。そして、さまざまな介護サービス事業者と、どのようにネットワークを構築するのか、医師の意識改革の神髄が問われ始めたと言える。コ・メディカルの信頼を損なうことがないよう介護に役立つ内容で速やかに主治医意見書を記載し、そして介護認定審査会への協力も拒否するわけにはいかないだろう。さらにケア担当者会議が開催されるなら、率先して会場を提供し、ケアの仲間たちへ連携の重要性を自ら示すことも大切である。
笑顔でケアマネジャーとのコミュニケーションを取りながら、軽やかなフットワークで往診すると、生活を見ずして有益な介護への助言ができないことが再認識できる。制度の問題は山積みしているものの、地域とのさまざまなネットワークなしに、地域医療が展開できない時代が到来したことは事実である。

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