医学書院
訪問看護と介護 2005.1.15発行

リフレッシュのすすめ @

わくわく訪問看護ステーションゆうき
平澤由美子

リフレッシュのすすめ

わくわく訪問看護ステーション   
平澤由美子 

 リフレッシュのすすめ……と言われても、仕事と家事と育児に追われている私には、そんなものは見あたらない。仕事から離れてみれば当然行き着くところは家しかないのだが、ふと見渡してみると、パソコンの前には長男がドカンと居座り、次男は寝そべりながらテレビを見ている。夫は、これまたテレビを見ながらビールを飲んでくつろいでいるではないか!私はといえば、帰って玄関をあけたとたん、投げられっぱなしの学生かばんふたつと、汚れたユニホームを見てため息をつき、帰ってからしばらくはコアラのごとく離れようとしない幼い娘を片手に抱きかかえたまま、洗濯物を取り込み夕食の支度に追われている。仕事を離れてという意味では、確かにその日の仕事の内容も、これは大事なことだから明日連絡しなくちゃ、なんて考えていた事も、全て吹き飛んでしまう慌ただしさである。こんな家庭は私にとって癒しの空間になっているのだろうか?

◇ 長男・翔太◇
一応、15歳の受験生である。とにかく騒々しい。しゃべっているか、歌って
いるか、叫んでいるか、やっと口が止まったと思いきや、今度はテーブルや壁をバタバタと叩いている。ゲームとパソコンにかける情熱はすさまじく、 ビートマニアUDX とやらに熱中している。その指さばきはまさにプロ!「ねえ、見て、家の子すごいでしょ!」と自慢したい所だが、やっていることがゲームじゃなぁ。部屋にこもって勉強する事など一切なく、買物には今も一緒についてくる変わり者だ。(荷物持ちには重宝する)
食べる事をこよなく愛する彼は、料理もしてくれる。夏休みなど卵焼きを焼いて弟に食べさせてくれたりする。炒め物専門だが、この前作ってくれたおにぎりは、いい塩加減でやけにおいしかった。
CDをレンタルしてきて、機械操作の苦手な私に代わって録音してくれる。仕事用の車はテープしか聞く事ができないので、おそるおそるテープに…と頼むと「テープもCDも両方やっとくよ」とぶっきらぼうに返事をするが、その仕事ぶりは完璧である。私はパソコンもいまだに教わっている始末。「いい加減に覚えろよ」と言われても、記憶力の低下は避けられない。しかし、さすが長男、見捨てることなく母を助けてくれるのである。
頭も口も悪いのだが、とりあえず優しい子に育ってくれて嬉しいと思う。3年後、翔太に車を運転させ、ディズニーランドに連れていってもらうのが、今の私の夢である。                    

◇ 次男・裕太◇                            
いくつになっても知能は小学1年生で止まったままかと思われた裕太も、中学生になった。数年前、スーパーでゆがいた竹の子を水に浸して売っているのを見て、「ママ、これ生きてるの?」と聞いてきた、その頭の中身はあまり変わっていない。ついこの前も「ねぇ、ひまわりの種とか葉っぱとか食べられるんでしょ。俺、塩漬けにしようかな」と言った。頼むからそういう脈絡のない発言はやめてくれ!と思うが、後から思い出すとかなりおかしい。
小学時代のサッカー少年は、中学生になって野球部に入部した。熱し易く冷め易いその性格を思うと、続くかどうか不安である。朝は弱く、不機嫌この上ない顔で早朝練習に出かけて行くくせに、野球部に入ったとたん将来の夢は プロ野球選手 と聞かされれば「はいはい、どうぞ頑張ってください」としかいいようがない。
犬から始まり、鳩、亀、フナ、ざりがに、果てはトカゲや蛇に至るまで、何でも拾ってきて飼わされた挙句、 <わくわく動物ランド>と呼ばれる原因となってしまったのは、全て裕太のせいである。そんな子どもが、兄に対して、「この爪切れよ!初美に当たったら危ないだろ!」と言った。おぉー、たまにはまともな事も言えるじゃないか!心から感動したよ。やっと、小学4年生くらいに成長した様だ。でも、きっとこれからが難しい年頃なのだろう。そのうち、家でバットでも振り回されてはかなわない。その時はすぐ逃げ出せるように、家出先だけは決めておこうと思う。           

◇ 長女・初美◇                            
平成15年に生まれた我が家の姫である。兄達の影響を受けて、かなり自己主
張が強い。末恐ろしい娘である。まだ日本語には程遠い言葉を何やら一生懸命話しては怒っているようだが、私の通訳能力は不十分である。裕太の「生き物のくらしと飼いかた」という本に載っているミミズをたいそう気に入り「ずー。ずー」と喜んでいる。「が・にー」はザリガニ、「か」はメダカと、指図されるがまま本のページをめくる。「さん、さん!」・・・さんって何だ?New初美語について行けず数日頭を悩ませたが、先日やっと「かめさん」だという事が判明した。ゆっくりとこの子の成長を楽しみたいと思ってはいるものの、リフレッシュとは程遠い原因の第一因子である。しかし、うつ伏せで寝ているときのかわいいおしりを見れば、ついつい触りながら微笑んでしまう。                               

◇ 夫・はじめ◇                             
ひとことで言えば、外面のいいAB型である。まあ、学校のPTA本部役員
をずっと続けてくれたお陰で、私はクラスの役員をやらずに済んだことは感謝している。家では頼まなければ当然何もしない。果たして2人の老後は…?
献身的に夫の介護を続け、家で看取った尊敬すべき妻たちを何人も思い出しながら、考えてみる。私はできるかなー?やっぱり愛がなければ無理だよなー。いや、その前に、あんたはおそらく睡眠時無呼吸症候群だ。間違いない。耳鼻科に行けと一度は忠告した。アルコール性肝機能障害も指摘したはずだ。とりあえず妻の役目は果たした…よな。しかし一向に言うことを聞きそうにない。初美がいるので、まだ元気でいてもらった方がいいが、女性の方が平均寿命は長いので、私は一人で老後を楽しむために、バリバリ元気なお婆ちゃんでいようと密かに思っている。                         

◇ 結局・・・◇                            
こんな家族を相手に休日はひたすら疲れ、日曜日には必ず思う。「早く仕事に
いきたい」と。朝、事務所に行き、朝食のパンをかじりながら、訪問前のスタッフとのおしゃべり。気の利く事務員の入れてくれるコーヒーのおいしいこと。訪問先へ車を走らせながら、澄んだ青空を見るとうれしくなる。翔太が録音してくれた平井堅のテープを聴き、心癒されながら患者さんの笑顔に会いに行く。初美が生まれてから庭の手入れも今はできないけど、放っておいてもクロッカスやすいせんは毎年きれいな花を咲かせてくれ、命の尊さを感じたりする。もう少し大きくなったら、一緒にきれいな花壇にしよう。そうそう、裕太の植えた大きなひまわりは、今たくさんの種をつけている。塩漬けはやめてくれ。
こんな仕事をしているからこそ、何でもない日常に幸せを感じられることが幸せだと思う。結局、リフレッシュなんて自分の気持ちしだい、なんじゃないでしょうか…?でも、のんびり旅行に行きたいなー。

 

 

      

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